「建築ノート」

槻橋修さんの雑誌、「建築ノート」No.3でショート小説を書かせていただきました。国立新美術館で開催中の「Skin and Bones」展と武蔵野館など全国上映中の「スケッチ・オブ・フランク・ゲーリー」のレビュー小説となっています。


ちなみに題名は「Dr.KORUBU」、建築学生・鈴木ジローとプロフェッサー・アーキテクト凍部Jをめぐる愛と苦悩の成長小説?です。めざせ「のだめカンタービレ」建築版。拙稿はともかくとして、前2号に引き続き豪華ラインナップですので、みなさまぜひとも書店でお手に取ってごらんくださいませ。定価1600円だそうです。


建築デザインの人って面白い…と思うことが多いのですが、ジャンルとしての「建築小説」を発明した槻橋さんとのやりとりがこれまた刺激的で勉強になりました。心よりありがとうございます。


自称「文学者」、初めて活字になった文章は学生時代の懸賞小説だった…わりにはその後そちらの方面でまったく仕事が続かなかった…。単純に能力の問題が大きいですが(文章ヘタだし)、そこには小説特有の「一人称」「三人称」の問題がある気がします。若い頃は自分の自意識で手一杯だから一人称でしか語ることができない、だけど自閉しながら自分の中にのみテーマを探し求めるのは限界があります。たぶん明晰さと文学的素養があれば違うのだろうけれど。ともかく10年を経てキーボードを叩いたら、自然と三人称で書き出し、「他者」について書けていたことで、わたしもオトナになったのねえ…と実感しました。


書く作業の中では物語を書いている時がイチバンラクチンです。もともと貧相な左脳で論文書きをしていると脳みそが萎んでいく感じですが、右脳でフィクションを書いていると妄想が広がりアドレナリンがわいてきて元気になります。「仮面の告白」とか「わるいやつら」のような、書いてるのが楽しくて仕方がない!…というアドレナリン小説が書けたらいいなあ、なんて思っていたりもするのでした。