呪いのドライヤー

今日あったコワイ話。

数週間前、書庫の奥底からDVDを取り出してきた。カール・ドライヤー『吸血鬼』1931

数年前にドライヤー特集が行われた際に購入した。ディゾルブとかカットバックとか古典的手法を駆使しつつ、これが相当コワイ。セリフを極限まで切り詰めた白黒映画は悪夢の中の蜃気楼のよう、棺おけ愛好家ドライヤーらしく、墓を暴いたり、狂気したり、オオコワ…と布団をかぶってブルブル震撼しながら眺めた。そう、この時は単純に映像が怖いだけで、確かに何ごともなかったのだ…。その後起こることなど想像せずに。。

その後、DVDは知人数人に貸し出され、戻ってきた後は、放置されたままになっていた。

数年が過ぎ去った。

久しぶりに再生すると、終わりの場面で、一瞬ピンクと青に閃光がまたたき、映像が不自然にぶれる箇所があった。ウーム、だれかが傷つけたわね…と輝く裏面をうらめしくながめ、手癖の悪そうな?犯人を頭の中で推定した…。とはいえ、映像のぶれかたがあまり縁起のよい感じもしなかった(キャ〜という恐怖部分で絶妙にぶれる)ので、ネットで近所の修理会社を検索したけど、メンドクサイのでまた放置しておいた。これも問題だったのか。。

今日になって、ふいに、DVD修理しようかな…と思って修理会社をたずねた。受付でDVDを渡すと、受け取ったオネエサンはDVDの裏面をしげしげ眺め、疵アリマセンねえ、といいつつDVDを再生し、例の場面で顔をしかめ、現物をもって奥に引っ込んだ。しばらくしてオネエサンが戻ってくると、不審そうに、やっぱりDVDに疵はついてませんね、どうも、後から映像が重ね焼きされたみたいです…言ってくる。。チャンとした機材で再生すると、どうもナニやら脈絡のない数字がみえるらしい。

しかしだ。買った直後はそんな映像なんてなかったのに。だいたいセルDVDに普通のヒト?が重ね焼きなどできるのかしら…それとも、コワイ映画をより怖く見せよう…と誰かが気を利かせてコッソリ小細工してくれたのかしら…と頭の中がグルグルしてきた(少なくとも貸し出した範囲でそんなヒマなことしそうな知人はいない…)。。

オネエサンは、困った顔で、私もこんなの見たことないですね、原因はチョットわかりませんね〜、少なくとも研磨処理したところで直る見こみはないです…と汚らわしいわとばかりにDVDをつきかえして客をしたたかに追い出した。オフィスビル8階の闇のなかから底知れない恐怖をかかえ、真昼の太陽を背中にスゴスゴ帰ってきたのである。家に帰り、よくよく問題部分を見ると、どうも別のシークエンスのドアとヒトらしきものが写っているっぽい…のかな…。

ということで単なるDVDは恐怖DVDに変わったその瞬間が恐怖だったのである。。ウーム…。映画というのは真実以上の真実を記録し映しだす…以上に映像そのものが真実なのである。物神DVD。それともやっぱり誰かのイタズラかしらん。それとも保管がよっぽど悪かったのかシラン。。揺れるわ〜。ニンニク漬にして悪魔祓いでもしたほうがよいかしらん…とか非科学的なことを考えない方に原因を教えてほしいです。よくあることなのでしょうか…。